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Imagine

I love photography.

にゃんだふるライフ

デジタル写真

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 俺っちは猫である。名前はまだ無い。野良として生まれ、物心ついた頃、人間という生き物に引き取られた。そして、動物病院なる場所でチップというものを埋め込まれ、爪を抜かれて、去勢手術を受けた。人間は、自分の都合のために俺っちの意向を無視して酷いことをするものだ。それから腹を空かすことはなくなったが、自由に外を歩き回れない缶詰生活が不満になり、ある日、隙を見て脱走した。

 

 思ったより簡単に抜け出せて、しばらく野良生活を満喫した。長い旅をした。一体どのくらいの距離を歩いたのか、俺っちには分からない。空腹でも、自由が一番だと思った。しばらくの間、のんびり気ままな生活を楽しんでいたのだが、カナダという国の冬は凍死しそうな寒さである。食料を確保することが至難の業となり、腹ペコ大魔王の攻撃を喰らって、みるみるうちに痩せ細り、幸福な自由猫はガリガリの骨皮筋右衛門猫となった。あたり一面カチンカチンに凍結して、冷たい北風が吹いていた夜、突然ものすごい眠気に襲われて、とうとう天国に行く時が来たのだと思った。

 

 

 

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 再び人間に拾われることになるとは思いもよらなかった。目を覚ました時、元の家に連れ戻されるのかと思って冷や冷やしたが、なんでも「逃亡した猫などいらぬ」と言って断られたらしい。人間の思考というものが理解できぬが、不幸中の幸いとは、こういう事を言うのかもしれない。俺っちを拾い、命を救ってくれた救世主(メシア)は、既に沢山の猫を飼っていたから、その息子とやらが引きとってくれることになった。この「息子」という人物は、まるで神様のようであった。美味い飯をたらふく食わせてくれた。暖かい部屋で、ぬくぬくしながら極楽生活を送っていたのだが、万事うまく事が運んでハッピーエンドという甘い世の中ではなかった。「息子」のアレルギー症状が酷くなり、俺っちと一緒に生活できなくなったのだ。致し方なく、救世主(メシア)のオフィスに滞在することになった。

 

 

 

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 救世主(メシア)はカイロプラクターという職業をしており、次から次へと、実に色々な人間が訪れた。そこで人間観察を楽しんでいたら、俺っちを引き取りたいという奇特な老婦人が現れ、生まれて初めて、暗いトンネルをモグラのように走る地下鉄というものに乗った。とても疲れてシエスタしたくなった頃、辿り着いた場所は巨大なコンクリートの箱、コンドミニアムという建物の一室であった。

 

 この、新しい住処から脱走することは不可能に近そうである。老婦人の期待に添えるように努力すべきだと分ってはいるが、好奇心旺盛な俺っちには無理な話。部屋の中をあちこち探検しながら、家具というモノをカジカジポリポリして感触を確かめてみる。キラキラ光るクリスマスの飾りが気になる。ビヨヨーーーンと、面白い音が鳴るドアストッパーで遊んでみる。毎日毎日、何度も老婦人に叱られて、仕方なくソファーに横になるのだが、どうにも退屈で仕方がない。

 

 退屈というものは何とかなるが、世の中には、猫の力ではどうにもならない事がある。最悪な状況に陥った。老婦人が俺っちのことを「メタボ」だと言い、ダイエットなんていう、とんでもない事をさせられている。いまいましい腹ペコ天使のお出ましだ。もう、ため息しか出ない。時々、自由な野良猫生活が恋しくなる。「息子」のところに戻りたくなる。だが、過去を振り返って偲んでも何にもならない。今は、部屋の窓から見える玩具のような街を見おろして、しばし、夢を見ることにしよう。そして、これから先は、よく怒る老婦人の厄介になることにする。

 

 

 

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。~*…☆ あとがき ☆…*~。

 

去年、クリスマスの数日前にダーリンの叔母様が野良猫をアダプトしました。

年末に会いに行って、カシャカシャ(笑)

その時はまだ名前が決まっておらず、名無しの権兵衛君でした。

後日、獣医さんにチップを確認してもらい、彼の素性が判明して…

悩んだ末、最初にアダプトした人がつけた名前で呼ぶことにしたそうです。

スモーキー君  ( `・∀・´)ノヨロシク  ♫ 

cranberry の、なんちゃってミニ小説(ノンフィクション)

お粗末でした(汗)